2021年9月15日水曜日

安部火韻によるお勧めの深い映画

 お勧めの洋画


『ストーカー』(タルコフスキー監督のロシア映画)宗教?哲学的な映画。苦悩する文学作家、大学教授(科学者)、道案内人の三人が話しつつ奇跡が起きると言われる聖域へと赴く物語。静かな映画で眠くなるかもしれません。


『ある結婚の風景』(ベルイマン監督のスウェーデン映画)ある恵まれた夫婦の情景を通して愛を描いた作品。元は連続ドラマだったようだ。


『子供の情景』(イラン映画)強い意思をもって生きようとする子供を通して戦争など人間社会の本質を描く。かわいい少女が困難に立ち向かう姿が痛々しい。原題の直訳に近い別題「ブッダは恥辱のあまり崩れ落ちた」



『メメント』(「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督作、ジョナサン・ノーラン原作)五分で記憶を失う男が妻を殺した男を追う話。すぐに記憶を失ってしまうとしたら、どうするのか?メモを取ったり、身体に書くことでそれを記憶として生きている男。記憶というものの本質に迫る。他の作品「ダークナイト」「インセプション」「プレステージ」もお勧め。ノーラン兄弟は「時間」「記憶」というものをテーマに哲学的なメッセージを込めて作品を描くことが多い。「メメント」を見ると、「インセプション」はこの「メメント」のメッセージをさらにエンタメ化したものにも見えてくる。



『ドッグヴィル』(「ダンサーインザダーク」のラースフォントリアー監督作)犬畜生の町ドッグヴィルにある女が迷い込んだ。犬畜生というものはどう扱うべきか?歩み寄る優しい神と救いようのない人間とのどうしようもない関係を象徴、いや、嘲笑している映画。ニコール・キッドマン主演。自由・平等・権利といった理念をとことん嘲笑した続編「マンダレイ」もお勧め。見た後、後味最悪なブラック映画です。



『嗤う分身』(ドストエフスキー原作)シュールでおもしろいドッペルゲンガー映画。カフカの小説のような不条理さがにじみ出ている。




『ステイ』映像の切り替えが凝っており、それを見るだけも価値あり。日常が少しずつシュールな狂気へと堕ちていく様子が描かれる。映像のさまざまなところに何度も繰り返し映されるさまざまな断片イメージ。




お勧めの邦画



『ヒミズ』(園子温監督作、古谷実原作)苛烈に生きる、あるいは、苛烈に生きず死なず。園子温監督作の多くは苛烈な熱い情熱を作品から感じます。他の作品、リアルに映画を撮る映画『地獄でなぜ悪い』、宗教と愛の映画『愛のむきだし』、新しい家族の形を探る話『紀子の食卓』、性を通して映画をひっくり返す映画『アンチポルノ』もお勧め。



『鉄男』(塚本晋也監督作)誰も見たことのない映像にしびれます!必見!機械と人間とが奇妙に混合してしまった怪物、鉄男の誕生。




『攻殻機動隊 イノセンス』(押井守監督作、士郎正宗原作)『攻殻機動隊 ゴーストインザシェル』の続編。とても美しい映画。哲学的示唆に富んでいる。ロボットたちが起こした事件を通して、人間と人形との関係は何なのかを探っていく。




『空気人形』(業田良家原作)これは原作は業田良家の「ゴーダ哲学堂」という漫画短編集の1つから着想を得ています。もともとは数ページの短いマンガなのですが、それをさらに発展させて原作もいいのですがさらに素晴らしい映画に仕上がりました。

ストーリー: ある日、性欲処理の空気人形に意識が芽生え動き出して街に出る。そして、出会ったレンタルビデオ屋の店員に一目惚れしてしまう。

「わたしは心を持ってしまった‥。」

空気人形の恋は実るのだろうか‥

テーマ:  きっと誰もが誰かのための風なんだ。

哲学: 哲学的な答えというよりも、問いを投げかけるほうが多い映画でした。心とは何か。人と人とが関わるとはどういうことか。代用品というものの存在意義とは?そうした問いを静かに投げかけられます。




『ラジオの時間』(三谷幸喜監督作)コメディだが、舞台など何人もの人が絡んだ企画をして、自分の思うとおりにならないという経験をしたことがある人にとっては身に染みる映画。もともとは舞台だが、作者の実体験だろうか?






以上、安部火韻によるお勧めの映画でした。実のところ、まだまだたくさんありますがw


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