2019年7月19日金曜日

パブロ・ピカソが脚本家!? 〜ナチス占領下のパリ文化〜

パブロ・ピカソは絵画だけでなく多くを残しているが、舞台演劇の脚本を残していたことはご存知だろうか?




なんと、私が今年の9月に出演するあいちトリエンナーレ舞台芸術公募プログラムのひとつ。
これがその脚本なのだ。


『しっぽをつかまれた欲望』

ピカソが戯曲『しっぽをつかまれた欲望』を執筆したのは、《ゲルニカ》を描き終えた4年後の1941年、そう、ナチス・ドイツ占領下のパリである。



ピカソの紡ぐ言葉はまるで彼の絵画のように抽象的かつ詩的なイメージに溢れ、「大足」「玉葱」「沈黙」「太った不安」そして「丸い先端」といったコミカルで隠喩的な登場人物たちが、シュールレアリスティックな会話と行為を繰り広げる。 

例えば、第二幕第二場では10の登場人物すべてが入った巨大なバスタブを二人の覆面の者が運んでくるところから始まり、彼らの台詞のやりとりののちに、二匹のわんわんが吠え立てながらみんなを舐め、みんなが飛び出す。そのとき、タルトのみ全裸に靴下なのだが、他の入浴者たちはみな普通の服で浴槽から出てくる。そうして彼らは食料の詰まった籠や、ワイン、食器などを持ち出して、ピクニックを始める。ところが、棺をかついだ争議人夫たちがやってきて、それにみんなを押し込み、釘を打ち付けて運び去る。というのである。

正直、初めて読んだときは、これを舞台にするのはかなり大変だと思ったw

初演は未だナチス占領下の1944年の春、フランスの詩人・民俗学者ミシェル・レリスのアパルトマンの一室にて、リーディング形式で密やかに行われた。

ミシェル・レリスという文化人について調べて見たところ、驚くことがわかった。彼はシュルレアリスム活動にも参加し、バタイユと「ドキュマン」誌、サルトルと「レ・タン・モデルネ」誌の立ち上げにも参加していた、のみならず、画家フランシス・ベーコンによって描かれた肖像画が残っている。ベーコンの愛人だったのだろうか?



しかし、それだけではなかった。こちらをご覧あれ