先日、ビョークの音で踊る美しい女性を観た。
それがもともと私の好きな曲だったので驚いている。
次の日、私はビョークの音とその踊りを、昨日という身体と音を何度も何度もリフレインしていた。
何度も聞くうちに、英語の歌詞の意味が気になった。しかし検索しても和訳が出てこない。
そこで自分で翻訳を試みた。
その曲のタイトルであるPagan Poetry 「ペイガン・ポエトリー」とは、「異教の詩」を意味している。異教とは、ここでは反キリスト教的な土着の信仰のことらしい。なんとなく魔女狩りのことが思い浮かぶ。
異教の詩
Pedalling through
The dark currents
I find an accurate copy
A blueprint of the pleasure in me
流れる闇の中を漕ぎ進み
私は見つける 正確なコピーを
私の内にあった快楽の青写真(設計図)を
(Swirling black lilies totally ripe)
A secret code carved
A secret code carved (Swirling black lilies totally ripe)
渦巻く黒百合たちが完全に熟し
秘密の暗号が刻まれている
渦巻く黒百合たちが完全に熟し
秘密の暗号が刻まれている
He offers a handshake
Crooked five fingers
They form a pattern
Yet to be matched
彼は握手を差し出す
歪んだ五本の指がパターンを描いているが
それらはいまだ解読されない
On the surface simplicity
But the darkest pit in me
And it's pagan poetry
Pagan poetry
表面上は単純そうだけど
でも私の内奥の窪み、最暗部が
そして、それが異教の詩
異教の詩
Morse coding signals (Signals)
They pulsate (They wake me up)
They wake me up
(Pulsate) from my hibernating
モールス信号が(信号が)鼓動して
(私を目覚めさせる)そして、私を目覚めさせる
(鼓動して)冬眠から
On the surface simplicity (Swirling black lilies totally ripe)
But the darkest pit in me
And it's pagan poetry (Swirling black lilies totally ripe)
Pagan poetry
表面上は単純そうだけど
渦巻く黒百合たちは完全に熟し
でも私の内奥の窪み、最暗部が
そして、それが異教の詩
渦巻く黒百合たちは完全に熟し
異教の詩
Swirling black lilies totally ripe
渦巻く黒いユリたちは完全に熟し
I love him, I love him
I love him, I love him
I love him, I love him
I love him, I love him
(She loves him, she loves him)
彼を愛してる、彼を愛してる
彼を愛してる、彼を愛してる
彼を愛してる、彼を愛してる
彼を愛してる、彼を愛してる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
This time
I'm gonna keep it to myself
(She loves him, she loves him)
(She loves him, she loves him)
今度こそ
私はそれを自分だけのものにしようとする
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
This time
I'm gonna keep me all to myself
(She loves him, she loves him)
(She loves him, she loves him)
今度こそ
私は自分自身をすべて自分の中に閉じ込めようとしている
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
But he makes me want to hurt myself again
(She loves him, she loves him)
(She loves him, she loves him)
そして彼のために私はまた自分自身を傷つけたくなる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
But he makes me want to hand myself over
(She loves him, she loves him)
(She loves him, she loves him)
だけど、彼のために私は全てを投げ出し、全てを差し出したくなる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
But he makes me want to kill me away
(She loves him, she loves him)
(She loves him, she loves him)
だけど、彼のために私は私自身を殺し消し去ってしまいたくなる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
彼女は彼を愛してる、彼女は彼を愛してる
キリスト教文化において、女性の性は忌むべきものとして抑圧されてきた。
その忌むべき性的なものを生(せい)として、また聖(せい)として愛の中で復活させるような内容なのである。
この曲で踊っていたのはエロティック・フリースタイル・ダンスのトラスティックFなどでも活躍中のダンサーでありモデルでもある、愛利寿(ありす)さん。
黒百合はまさに愛利寿さんの存在と重なる。愛利寿さんは黒を基調とした品のある強く美しいスタイルなのだ。
始まりは和を基調とした衣装で登場し、扇子を手に踊り、そして、その衣装を脱ぎ捨てる。
そして、印象的だったのは途中で足を上げ、倒立した状態で足によるパフォーマンス。
これは足の美しさに目がいくが、歌詞を加味すると、花弁のように見えてくる。そして、足によって、実は暗部が強調されていると見ることも。
黒百合が咲き乱れ、内奥の最も暗い部分がそこで露わになっているのだ。
キリスト教的な文化としての西洋から見れば、日本は異教だと思われるだろう。
この曲を和服を纏い、脱ぎ捨てつつ踊った愛利寿さんの中では、西洋に対する日本、和の艶かしさが異教の詩として(無意識にであれ)解釈されていたのだった。
だからピタリとハマっていた。
「性ではなく、生(せい)」。これはダンス後にお話ししたのだが、愛利寿さん自身も意識し強調していた。
私はこれにこの歌を想って「聖(せい)」も付け加えたい。
そして、もう一度、彼女がこの曲で踊るのを見たい。
(ちょうどその時、私のスマホが死んでいたのでその記録は心だけに残っていた)



