2020年8月1日土曜日

アリストテレスの思想がナチスと親和性?

アレテーとは徳とか卓越性とかいう意味を持つ古代ギリシャの言葉である。


卓越性について考える。


アリストテレスによれば、例えば最高のバイオリンは誰に与えられるべきか?それはお金を持っている人でも、貧しい人でも、チェロが弾ける人でも、将棋が強い人でも、ない。

最高のバイオリンが与えられるべきは最高のバイオリニストである。


こうしてその人のデュナミスが卓越性として発揮(エネルゲイア)されるのである。
{デュナミスとは力という意味で、アリストテレスは能力とか可能的であるという意味で使い、可能態と訳される。エネルゲイアとは、働き(エルゴン)のうちにあるという意味で、現実に作用していること、現実態と訳される。}

錬金術師の夢と、シミュラークルな贋金造り、そしてコロナによる芸術への攻撃

シミュラークルと本質?

贋金造り

金や銀などの貴金属によって硬貨が作られていた時代、贋金作りたちは、様々な手法を用いて、金に似せたものを作ろうとした。

しかし、贋金は似せれば似せるほど本物たりえない。それは贋金を構成している物質が違うからである。

彼らは金や銀に混ぜ物をしたり、別の安価な金属を使って純金や純銀にできる限り似たものを作り出そうとしてきた。

なぜなら、純金や純銀によっては贋金を作ることはできない。純金や純銀そのものがあるなら、贋金を作る必要がないからである。

だから、その末裔は本物の金や銀を作ろうと試みた錬金術師たちである。錬金術師たちはあくまでも「本物の」金や銀に拘っていた。その試みは失敗に終わったのだが。


一方、高利貸しなど金貸業者は、本物のお金を作り出すことに成功した。それも金や銀に全く似せることなく。彼らは人々から金や銀を預かったとき、預かったことを証明する証文を渡した。紙切れ一枚である。

しかし、人々は、この証文を金の代わりに何かを買うときの支払いに使った。なぜなら、その証文をホンモノの金や銀と交換することができるのだから。これがお札の起源である。