♩(ドー)
まずひとつの音がある。
その前には沈黙があった。
♩(ドー)
またひとつの音がある
その前には休符があった。
♩(ドー)
またひとつの音がある
その前には反復があった。
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩(ドー)反復、
♩♩♩♪♪♪…限りなく続く反復
音は生まれてはすぐ消える。従って、再生しなければならない。
再生の反復。
反復が秩序を生む。
私は、それが反復だとわかる。
私は、この一瞬に生きているわけではない。
私は、時間の中で生きている。
つまり、私は、過ぎ去った前の音を記憶に保持したまま、次の音を聴く。
刹那にしか生きない者は、
過ぎ去ったものを過ぎ去らせる者は、
すなわち、すべて忘却すべしを旨とする者は、
音楽を聞くことができない。
音楽は、瞬間だけでは成立しない。
音楽は、時間芸術なのだ。
反復しているということは、これが2度目だとわかること、つまり、覚えていなければならないのだ。
しかし、ただの反復はセンスがなかったりする。
そこで、反復は音楽の中で高度化する。
反復は複雑化し、多様化し、隠されるようになる。
フレーズの繰り返しも反復だが、
韻を踏む、これも少し高度化した反復。
メロディーは繰り返されるが
ひとつのメロディーの中にも複数の反復が隠されている。
そうでなければ、メロディーが成立しない
ところで、
芸術は反復である。
否、
芸術は模倣(μίμησις)である。
古代ギリシャからそう言われているが、
模倣(μίμησις)とは何か?
似たものの反復、
同一のものの反復ではなく。
それは、確かに、似たものが反復しているのだけれども、”似ている”からにはそこには何らかの差異があるのである。
高度に隠された反復こそが模倣かもしれない。
似せられたもの、ニセモノ
ニセモノはホンモノを求め続ける。
しかし、ホンモノを求め続ける限り、ホンモノは決して手に入らない。
むしろ、似ていないことによって、ホンモノになれるかもしれない。
To be continued
音楽は未だ終わらない。
体感せよ!
わたしの原体験音楽
谷山浩子、遊佐未森、ケイトブッシュ
音楽的、絵画的
力学的、数学的
力的、関係的
ディオニュソス的、アポロン的
時間芸術、空間芸術
音楽的、絵画的という対比で考える。
音楽は音が生まれては消えるために動的だが、絵画は長い年月で朽ちることはあれど、基本的には動かないようにするために静的である。
そのため、音楽的なものは時間芸術、絵画的なものは空間芸術と言われる。
空間的ではなくて、平面的だろうと言われるかもしれない。
それに、建築の歴史が美術史の最初にある。
絵画は、後から発展してきたもの。
力学的、数学的
力的、関係的
ディオニュソス的、アポロン的
時間芸術、空間芸術
安部火韻