フィフス・エレメントという映画がある。
1997年にリュックベッソンが監督した未来のSFものの映画である。結構、変な映画で、コメディ的な要素も多い。
そもそもフィフス・エレメントとは何だろうか?
フィフス・エレメントとは、英語で第五の元素(要素)という意味である。特に日本ではあまり馴染みがないかもしれない。
第五の元素を考える前には、まずは四つの元素から考える必要がある。映画でも登場した四つの石に対応している地水風火である。この考えは今ではトランプやタロット、星占いにも残っている。
火は、直感、♠️、ソード🗡️。
風は、知性、♣️、ワンド🪵。
水は、感情、♥️、カップ🍷。
地は、感覚、♦️、ペンタクル💰。
というように対応している。
この世界は四つの元素でできているという考え方は、東洋や中東も含めいろんなところにあるが、西洋では古代ギリシャの哲学者エンペドクレスに遡る。
エンペドクレスの考えはそのままプラトン、アリストテレスに引き継がれるが、アリストテレスは、四つの元素にもうひとつ付け加える。
それが第五の元素アイテール(英語でエーテル)である。
地水風火は地上において作用するもので基本的には一時的に直線的な動きをすると考えられているが、アイテールは地上ではなく、宇宙で作用し、永遠に円環する動きをすると考えられている。
まあ、アリストテレスは天体の動きから、このようなことを考えたのだから。
ちなみに、科学においてもアインシュタインの時代までエーテル(アイテールはギリシャ語)の考えは残り、宇宙を満たし、光を伝える媒体であると考えられてきた。しかし、宇宙科学の発達により、宇宙には何も満たされていない真空であることがわかり、エーテルは否定された。(1887年のマイケルソンとモーリーのエーテルの風の観測実験から、1905年にエーテルなしにも時空間を相対化することで整合的に考えることができた特殊相対性理論に至るまで)
映画では第五の要素は愛とされるが、それはおそらくキリスト教的なものが結びつけられたのだろうと考えられる。
キリスト教では、神の愛が中心的に考えられる。
神は愛そのものであり、そのまま、天上の宇宙的なものに結び付けられる。
アメリカでは、神=宇宙人説というものもあるようだ。そういうわけで、ミラショヴォビッチが演じる赤髪の女の子は神の子的な立ち位置にある。実際、世界を救いますし。
エーテルは物質としては否定されたが、この映画では精神的なものとして復活させる、そんな感じを受ける。
ただ愛の描き方が俗的で、性愛だったのが気になるが。全体としてはコメディ感がある映画なので、そんな真面目に受け取らないのが良いのだろうw
0 件のコメント:
コメントを投稿