最近、本を読んでいて、詩人ジャベスの「本が存在するから、世界が存在する」という言葉が気になり、それについて考えてます。
みおんさんは、最近気になった言葉とかありますか?
かいんさん
めっせーじありがとうございます。
返信がとても遅れてしまいすみません。仕事が始まったばかりで、バタバタしていました(._.)
本が存在するから世界が存在する、興味深いですね。言葉や概念が存在し周知されるから、世界が立ち現れたり成り立つということでしょうか。あるいは、物語として紡がれることによってとか。と私はこの言葉からぱっと思ったのですが、どういう意味なのかもし良ければ教えてください(^_^)
私は最近、他者とわかり合うことは出来るのかなぁと感じるような日々を過ごしています笑。
詩人の言葉は、ただ1つの正しい解釈があるわけではないのですが、みおさんがおっしゃるとおりだと思います。
「言葉や概念が存在し周知されるから、世界が立ち現れる。」
これは、例えばアメリカには「腰」という概念がなく、lower Back(背中の下のほう)になってしまいます。しかし、日本にはその背中の下のほうは「腰」と呼ばれることで腰として存在しているのです。
続いて、みおんさんのおっしゃるように、確かにそうした言葉の集積を関係させて紡がれる物語があります。
ある1つの物語は、ある1つの世界を形作ります。というのは、(実在する)世界と言うのはある1つの時空間上に存在するものを集積させたものだからです。おそらく、だから、言葉の単なる集積ではなく、ある時間上に意味を持って相互に関連させ位置づけられた物語としての本なのですね。そして、物語は開かれ読まれるもの。つまり、必ずその読者がいるということです。
最後にそれは物語ではなく、本であるということです。本とは、常にその場で消え去っていく物語ではなく、すでに過去のものとなった物語です。我々が世界を世界という対象として眺めることができるのは、それが1つの統合された過去だからです。
解説ありがとうございます。
特に、「本とは、すでに過去のものとなった物語」というところが今の私には印象深く感じます。
上手く言えないけど、その理由のひとつは、統合された過去ではない、現在進行形の世界を眺めることの難しさを感じているからです。
でも、本が存在するから世界が存在する、という言葉に少しちがった部分で触れてみると、ひやっとする気もします。ちょっとこわいですよね、自分たちの認識してきた世界や足元が揺らぐようなもので。
かいんさんは、その言葉にどんなことを考えたり、どうして気になったのかなぁと思いました。
みおんさんは足がすくわれる気がするとおっしゃいましたが、しかし、本によって存在するということが私には足元をすくわれる感じよりも、逆に、この言葉に救いがあるのではないかと考えています。
救いがある、となぜ思うんでしょうか?
救いというより希望のようなものかもしれません。
最初にみおんさんは他者とわかり合うことの難しさを感じていましたね。
私もよく感じています。通常は「他人も私と同じだ」と思っていても、掘り下げて考えると、
他人が感じていることは私にとってまったく理解することが原理的にできないとわかるからです。それは、理解していることを確かめる方法がないから。そして、他人とのいざこざが起きたときに、その理解不可能性の萌芽を感じる。
他者の痛みを私は原理的に感じることができないと。
しかし、言語と言う観点から(ヴィトゲンシュタインなどの哲学者をヒントに)考えるに、言語には私的なものはけっしてありえない。つまり、言語には私にとってだけ理解しうる固有の言語というのは存在し得ない。
というのは、他人が使うことのできない言語を私は使うどころか理解することも思考することもできないし、言語は他人が使う言語を使うことによって習得でき、言語は他人への呼びかけによって始まるからです。
実は言語がものに存在を付与するのも、言語が他人と共有可能なものとしてあるからです。他人と共有可能にすることが自らの理解と思考を可能にし、その対象をあらしめる。
確かに、他人と私とは世界が違っており、他人の痛みを感じることはできない。
ところが、言語によって奇跡的に他人と通じ合うための可能性、つまり、希望はあるのかもしれません。
本が存在するから世界が存在する。
本というもの、ひょっとすると各々は各々常に更新していく本を持っているのかもしれない。
それぞれはそれぞれ自分自身の本を読んで自分自身の世界を理解しようとしている。
それぞれ次のページがどうなっているのか、想いをめぐらしている。
それぞれの本はそれぞれにしか読むことのできないそれぞれの言葉で書かれている。
そして、それぞれは、自分の本しか理解しようとしない。
だから、孤独。
でも、隣の人の本をのぞき込むこともある。けど結局は暗号めいた他人の本に自分の物語を勝手に見出しているだけ。
他者の本を読むことはできない。
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