2010年11月27日土曜日

実在妖精報告。

昨日、その子を見た。その子は地面をうろつきまわって、たまに何度か羽をばたばたさせていたけど、飛べないみたいだった。その子はたった一人でよたよたとあるきまわっていたが、そこはアスファルトの道の真ん中だったので危ない。僕はその子を隅のほうへ追い立てた。そのとき、大きな声で怒鳴られた。上を見ると親がいた。その両親は僕に向かって威嚇し、その子に構うなと警告を立てた。僕は安堵した。「ちゃんと両親が見守っていたんだ。」僕はカメラもスケッチブックも時間もなかったのでノートを取り出すと時間の許す限りスケッチした。両親はまだ僕に向かって威嚇する。その子はよたよた歩きだしたり、立ち止まってじっとしたりしている。でも何かがおかしい、親と体格が違う。何だか不格好だ。よく見ると羽はあるのだが、尾羽が見当たらない。尾羽がないから飛べないのだろうか。それとも隠れていて見えないだけなのだろうか。巣から落ちてしまったのだろうか。そしてその時になんらかの傷を負ってしまったのだろうか。その不格好な幼いカラスはいつ飛ぶのだろうか。
そして、僕らはいつ飛び立てるのだろうか。2010.6月

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