2010年11月29日月曜日

孤独の穴



心のなかに穴が空いている
大きくて深くてまっくらな穴
わたしの気という気を全て吸い込んでしまう穴
船酔いしているような悪い気分
悲しくてたまらないのに涙が出ない
わたしは恋に破れたわけではない
お金に困っているわけではない
身体に障害があるわけでもない
人間関係に何か悩みがあるわけでもない
友達が、仲間がいないわけでもない
いまもさきも過去も明るいはずなのに
なぜかわたしの心は暗いしかなしい
ああ、孤独
なぜこんなに孤独を感じるのか
外はこんなにも晴れているのに
鳥は歌い人々は楽しそうにしているのに
わたしはなじめない
わたしは世界のなかにいるはずなのに
わたしは世界から切り離されている
2010年3月3週間目Dusseldorfにて


孤独の矛盾
穴がぽっかりあいているのに、その穴が閉ざされているのはなぜ?
熱さが渦巻いているのに、とても寒いのはなぜ?
空虚なはずなのに、何かがいっぱいいっぱい詰まっているのはなぜ?
外は晴れているのに、私の内はじとじと雨が降っているのはなぜ?
中身は空っぽなのに、非常に重たいのはなぜ?

安部火韻

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