2023年3月18日土曜日

言葉が指すものと言葉それ自体 〜トイレの呼び方の変遷についての想像〜




 手垢に塗れたら言い換える傾向。


トイレは昔、厠(かわや)と言い、川の近くに建てられて、水に流したから、川屋だったとか。


しかし、直接的に糞をすると言うのは憚られるので、「厠にちょいと用事を足しに行く」と言うようになった。

そして、次第に厠という言葉が糞のイメージと近くなり汚いイメージをさせるようになり

「用を足す」としか言われなくなる。

そして、用を足す便利な場所ということで便所と呼ばれるようになった。もともと「便」には排泄物の意味はない。


しかし、厠が便所と呼ばれるようになり、大きなほうの便なのか小さな方の便なのかということで、排泄物を大便や小便と呼ぶようになる。


すると、便所は便利な場所ではなく、便をする場所となり、再び汚いイメージとなる。

そこで、外来語が入ってきて、これはハイカラだし、クリーンなイメージだということでトイレと呼ぶようになる。

トイレとは、英語の便所の意味だが、もともとはフランス語で化粧室を意味している。化粧室と便所が同じ場所ということが多かったため意味が変わったのだそうだ。


しかし、使い古すごとに再び、「トイレ」と聞くと汚いイメージになってしまい、接客業などでは「お手洗い」と言うようにするところもあるようだ。


しかし、いずれは「お手洗い」という言葉も汚いイメージに塗れ、再び新しい言葉が作られるのではないか?


この変遷を見ているとそう思わざるを得ない。

差別語なんかもそうしたイタチごっこなのだろう。

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