2024年2月6日火曜日

神と芸術 ~アングライベント劇怖からif糸布展へ~




先日、劇怖という恐怖をテーマにしたアングライベントに出演しました。

愛知県瀬戸市のりんごスタジオで行われたイベントで、血で絵を描く呪術師のライブペイントや緊縛やゆる怪談師が出演するショーケーススタイルのイベントです。イベントそのものは四度目、私の出演は二度目でした。

今回、安部火韻(アベカイン)はユニット愛蘭珈琲(アイリッシュコーヒー)として出演しました。


愛蘭珈琲は、《神様の死あるいは変容》をテーマに午前はどちらかというと日本の、午後はどちらかというと西洋よりのパフォーマンスを行いました。


午前における愛蘭珈琲の演目は主に他称魔女であり怪談師でもある白山葵が怪談を中心に行い、午後は私、安部火韻が好きなフランケンシュタインやニーチェをモチーフに身体パフォーマンスを中心に行いました。

愛蘭珈琲は、互いに思い付いたものを投げ合いながら創っていくスタイルです。

ところで、先ほど神様の死と変容についての表現を行ったと話したが、それについて話してみたいと思う。


そもそも、芸術の起源と宗教の起源とは重なるところがある。

古くは宗教的な儀式だったものが、現在の芸術に繋がっているというものがある。


例えば、演劇の演目は基本的には神や英雄の話が多い。

おそらくは、人々に伝達するための手段として演劇という仕方ができたのだろう。


もっと根源的なのは踊りかもしれない。

身体をリズムに合わせて動かすという行為は、多くは宗教的な催事、祭りに際して、神に向かって踊るという仕方が起源ではないかと言われたりする。

巫女の舞や盆踊りを思い浮かべるかもしれない。

また、音楽は、演劇や祭りに付随して、できたのかもしれない。


一方で、絵画や陶芸、建築といったものは、最初は自分達が使う日用品としてあったものに、装飾的な遊びを取り入れるのが最初だろうと思われる。

踊りや音楽や演劇にももちろん、そうした遊びのようなものが含まれているだろう。コメディやエンタメ的なものはこうした遊びから繋がっている感じがある。


つまり、芸術には、ふたつの方向がある。

ひとつは無意味な遊びとしての芸術。

もうひとつは宗教的な儀式としての芸術。


しかし、芸術から宗教的なものは今や失われてしまった。


そうして、宗教と密着した根源的なものとしての芸術ではなく、宗教から離れて独立した文化としての芸術が中心となる。


ヴァルター・ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」という論文を知っているだろうか?

太古における芸術というものは、鑑賞者を必要とせず、神への供儀として「今そこで」催されているということが重要であった。

社の中で神のために舞踊が行われていても、一般の俗人は見ることができない。

社の外から、拝むのみなのである。

そして、そこに伴う芸術性のひとつとしてアウラ(aura/霊気)というものがあると、ベンヤミンはこれに注目した。

アウラは「エロス的な欲情を喚起するような対象が発するものであり、幼年期に特有の至福の神的経験において現れる対象がもっているような性質」とされている。

ベンヤミンはこのアウラが時代を経て複製技術によって失われ、逆に鑑賞者が必要になったのだと指摘した。 複製技術の最初で最も革新的なものは「文字」であるように思われる。 文字に複製して残すことで、もはや「今そこで」催されているかどうかということは関係がなくなるが、一方でその文字などの複製技術によって複製された芸術作品を鑑賞する者(鑑賞者)が必須のものとなるのである。これが読者の誕生である。 こうした複製品はそれが複製されたものであるがゆえにオリジナルとは程遠くなっていく。


しかしながら、文字に還元しにくいものもある。


それがライブだろう。

音楽のライブ、舞踏のライブ、舞台のライブ、絵を描くライブペイント


ライブをライブ映像として映像に残すことはできても、実際に目の前で見て体感するのと、映像で見るのでは全然異なる。


そして、その感じを一層高めるのがなんらかの深遠な感じ、崇高性、あるいは神秘的な何かである。


それゆえ、その起源に神様や宗教的なものを見てしまう。


私は、劇怖でのパフォーマンスを通じてそうしたものを再現したいと思ったのである。



今月は、繊維を素材としたアート作品のグループ展があり、

私は同様のテーマで作品を制作中である。


ぜひご覧いただきたい。








🟥グループ展

イフif『糸布』Exhibition  13回展 2024


220()225()

愛知県美術館 8

ギャラリーG  《天井高5m

10時〜18 (金曜日は20時迄)

最終日は16時迄


安部火韻 大澤容子 大野比呂志 上田将司 下村訓子 佃鈴江 中村えい子 野崎小華 Anna Bielska-Hirano  堀江タダシ 翠道楽 村上典子


G室にて

12名のインスタレーション❗️

各作家の表現が広大な空間 (30mx 13mx 5m)で、交錯します。

是非ご高覧いただきたくご案内いたします。


☆イフ展では新たなメンバーの募集を考えております❗️

興味のある方先ずは、会場にて

12名の空間を体感しに来てください!

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シミュラークルと贋金造り

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