2025年3月25日火曜日

何の意味があるの? ー哲学無造作紳士が言い返すとしたら?ー


 ジェーン・バーキンのL’aquoibonistラクァボニスト、俗にいう「無造作紳士」と訳されている歌を久しぶりに聞いた。

https://youtu.be/-uqUyGRRZYo?si=9O8hdwnbKPOzrCBv

C'est un aquoiboniste
Un faiseur de plaisantristes
Qui dit toujours à quoi bon
À quoi bon

彼は「どうでもいいよ」主義
悲しげな冗談好き
いつも、言ってる。それが何?
どうでもいいよ

Un aquoiboniste
Un peu trop idealiste
Qui répéte sur tous les tons
À quoi bon

彼は「どうでもいいよ」主義
そこそこの理想家
いろんな調子で繰り返す
どうでもいいよ、って

(歌詞和訳は次のブログによる↓)

https://furansu-go.com/l-aquoibonist/

🎶〜スト♬〜スト♬〜♪アックァボン🎵

1行目と2行目はかならず脚韻を「〜スト」で終わって、最後はアックァボンで終わらせている。

このアックァボンが耳に残り、余韻が楽しめる。そんな歌である。

このアックァボン「A quoi bon」とは、「それには何の価値があるのか?」という意味で反語にもなるらしい。

というわけで、アクァボニストとは、

「A quoi bon」→aquoibonist

すぐに、「それに何の意味があるの?」と問う人を意味する造語らしい。

  「何の意味があるの?」と問う人

 →「何の意味もないよ」と言う人

 →「どうでもいいよ」主義者

 →無造作紳士

このように解釈がなされて無造作紳士という和訳になったらしい。適切かどうかは議論の余地がありそうだ。


そういえば、私は哲学をやっているのだが、哲学にはすぐにアクァボニスト(aquoiboniste)がやってきて、「(その哲学的な議論や小難しいことを考えることに)何の意味があるの?(a qoui bon?)」と言われる(笑)


だが、歌詞を何度か読んでいて見えてきたのは、

むしろ、このギターを弾くのが下手なアクァボニストのほうがショーペンハウアー気質で皮肉屋の哲学者っぽい。彼はそこそこの理想主義者であるために、世の中を無意味に感じていて「何の意味があるの?何の意味もない」と悲しいジョーク、つまり皮肉を交えながら断じているのだ。そんな様子が思い浮かぶ。


そして、彼をアクァボニストと呼んでいる歌詞を書いた女性が彼に向かって逆に「(そういうあなたの言う皮肉やらに)何の意味があるの?(a qoui bon?)」返すというそんなイメージまで浮かんできた(笑)


これを踏まえ、1バースだけ返歌を作ってみた。


「無造作淑女」

C'est une aquoiboniste

Une peu trop realiste

Elle me demande, moi l‘idealiste

A qoui bon 

彼女はアクァボニスト

ほどほどにリアリスト

イデアリストの僕に訊く

何の意味があるの?


まあ、返歌を作ったところで何の意味があるの(a qoui bon?)だろうか(笑)

2025年3月24日月曜日

不死者についての試論



ルーシー

私は心を探している。

私は心を探している。

私には心がない。

だから私は悲しむことがない。

私には心がない。

だから私は怒ることがない。

私には心がない。

だから私は愛することがない。

私には心がない。

だから私は恐怖することがない。

私には心がない。

だから私は死ぬことがない。

私には心がない。

だから私は生きることがない。

心が欲しい。

心が欲しい。

心、精神、魂。そう、魂。私には魂がない。魂はどこにあるのか?

恐怖に打ち震えたあなたの心、精神、それはどこにあるのか?

純粋なあなたのその血、そこにあなたの魂が流れているのだ。

その血を私にください。ニヤリ


2025年2月27日木曜日

音楽の原体験 〜反復する限り音楽は続く〜


♩(ドー)

まずひとつの音がある。

その前には沈黙があった。



♩(ドー)

またひとつの音がある

その前には休符があった。



♩(ドー)

またひとつの音がある

その前には反復があった。



♩(ドー)反復、



♩(ドー)反復、



♩(ドー)反復、



♩(ドー)反復、


♩(ドー)反復、


♩(ドー)反復、


♩(ドー)反復、

♩(ドー)反復、

♩(ドー)反復、

♩♩♩♪♪♪…限りなく続く反復


音は生まれてはすぐ消える。従って、再生しなければならない。

再生の反復。

反復が秩序を生む。

私は、それが反復だとわかる。

私は、この一瞬に生きているわけではない。

私は、時間の中で生きている。

つまり、私は、過ぎ去った前の音を記憶に保持したまま、次の音を聴く。

刹那にしか生きない者は、

過ぎ去ったものを過ぎ去らせる者は、

すなわち、すべて忘却すべしを旨とする者は、

音楽を聞くことができない。

音楽は、瞬間だけでは成立しない。

音楽は、時間芸術なのだ。

反復しているということは、これが2度目だとわかること、つまり、覚えていなければならないのだ。

しかし、ただの反復はセンスがなかったりする。

そこで、反復は音楽の中で高度化する。

反復は複雑化し、多様化し、隠されるようになる。

フレーズの繰り返しも反復だが、

韻を踏む、これも少し高度化した反復。

メロディーは繰り返されるが

ひとつのメロディーの中にも複数の反復が隠されている。

そうでなければ、メロディーが成立しない


ところで、

芸術は反復である。

否、

芸術は模倣(μίμησις)である。

古代ギリシャからそう言われているが、

模倣(μίμησις)とは何か?

似たものの反復、

同一のものの反復ではなく。

それは、確かに、似たものが反復しているのだけれども、”似ている”からにはそこには何らかの差異があるのである。

高度に隠された反復こそが模倣かもしれない。

似せられたもの、ニセモノ

ニセモノはホンモノを求め続ける。

しかし、ホンモノを求め続ける限り、ホンモノは決して手に入らない。

むしろ、似ていないことによって、ホンモノになれるかもしれない。

To be continued

音楽は未だ終わらない。



体感せよ!


わたしの原体験音楽

谷山浩子、遊佐未森、ケイトブッシュ

音楽的、絵画的

力学的、数学的

力的、関係的

ディオニュソス的、アポロン的

時間芸術、空間芸術

音楽的、絵画的という対比で考える。

音楽は音が生まれては消えるために動的だが、絵画は長い年月で朽ちることはあれど、基本的には動かないようにするために静的である。

そのため、音楽的なものは時間芸術、絵画的なものは空間芸術と言われる。

空間的ではなくて、平面的だろうと言われるかもしれない。

それに、建築の歴史が美術史の最初にある。

絵画は、後から発展してきたもの。

力学的、数学的

力的、関係的

ディオニュソス的、アポロン的

時間芸術、空間芸術


安部火韻


Say something

 Say something の翻訳をしてみました。

Say something, I'm giving up on you

I'll be the one, if you want me to

Anywhere, I would've followed you

Say something, I'm giving up on you

なにか言ってよ、君を諦めちゃいそうなんだ

君が望めば、俺は君だけの存在になれる

君の跡をどこへだってついていけた

なにか言ってよ、君を諦めちゃいそうなんだ


And I am feeling so small

It was over my head

I know nothing at all

そして、俺は、自分の小ささを感じている

それは俺の理解を超えていた

なんにもわからないんだ


And I will stumble and fall

I'm still learning to love

Just starting to crawl

そして、俺は、つまずいて転ぶだろう

俺は、まだ愛することを学び続けている

ようやくはいはいできるようになったばかり。


Say something, I'm giving up on you

I'm sorry that I couldn't get to you

Anywhere, I would've followed you

Say something, I'm giving up on you

なにか言ってよ、君を諦めちゃいそうなんだ

君のこと、理解できなくて、ごめん

君の跡をどこへだってついていけた

なにか言ってよ、君を諦めちゃいそうなんだ


And I will swallow my pride

You're the one that I love

And I'm saying goodbye

そして、プライドなんて飲み込もう

君は俺の愛する唯一の人

そして、お別れを言おうとしている


Say something, I'm giving up on you

And I'm sorry that I couldn't get to you

And anywhere, I would have followed you

Oh-oh-oh-oh say something, I'm giving up on you


Say something, I'm giving up on you

Say something...