文字は記憶するためにある。文字にして残すことで我々はそんな昔のことまで再び読み返し、何度も書いて記憶することができるのだ!
ところが、プラトンは逆のことを言っています。
書いたり、読んだりすることで記憶は逆に失われると。
正確にはプラトンのパイドロスを取り上げた「プラトンのパルマケイアー」というデリダの論文で取り上げられてあったのですが。
パイドロスの中では、ソクラテスがエジプトにおける文字の発明について説明します。
発明の神テウト神が文字を発明し、ファラオに渡しこう言う。
「王よ、この文字というのを学べば、エジプト人の知恵は高まり、物覚えは良くなるでしょう。私の発見したのは、記憶と知恵の秘訣なのですから。」
すると、ファラオはこう答える。
「人々がこの文字というものを学ぶと、記憶力の訓練がなおざりにされるため、その人たちの魂の中には、忘れっぽい性質が植え付けられるだろう」
「彼らは書いたものを信頼して、ものを思い出すのに、自分以外のものに彫りつけられた印によって外から思い出すようになり、自分で自分の力によって内から思い出すことをしないようになる」
スマホができて、漢字が書けなくなる現象をこんな時代から予見していたとはw
で私がそれを知ったのは、石田英敬の本。
つまり、
石田英敬の本で紹介されたデリダの論文で紹介されたプラトンの著作の中でソクラテスが紹介したテウト神とファラオとのやりとり。
そしてまた、文字に対して否定的なのにたくさんの文字を残すプラトンw
だからこそ、何も書かなかったソクラテスにそれを言わせると言う装置を設置したのかなw
また、精神分析医ラカンもそれが念頭にあってエクリを書くことに億劫だったのかもしれませんw
現代の対話篇〜
現代のテウト神ジョブズ「このスマホでなんでも学べます。漢字だって、忘れていたら、すぐに検索できますよ。あなたが記憶するのに役立ちます。」
プラトン「いやいや逆でしょ。むしろ、いつでも検索できるのだから、漢字を覚えなくても良いので、漢字を覚えなくなりますよね?」
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