2021年1月18日月曜日

ニーチェとフランケンシュタイン それからプロメテウス

 テーマ1: 怪物とは何か -どうして怪物は存在しないのか!?-

 

モンスターmonsterという言葉、元は「警告」を意味するmonereというラテン語から来ており、「何かしらの異兆による神々の警告を意味しています。フランケンシュタインでは、フランケンシュタインという男が何やら死体を繋ぎ合わせて人間に似てはいるが得体の知れない生命を創り出してしまいます。しかし「それ」には名前がありません。

果たして、名付けられぬ「それ」は一体なんなのか?

 ニーチェという哲学者がいます。

ニーチェとフランケンシュタインとは近いようでいて遠いところにあります。

「フランケンシュタイン」の原題には「現代のプロメテウス」という副題がついています。


作者メアリーの旦那パーシー・シェリーはこのフランケンシュタイン発刊直後に「縛めを解かれたプロメテウス」という戯曲を書いています。



一方では、ニーチェが初期の頃に評価していた古代ギリシャのアッチカ悲劇のひとつにアイスキュロスによって書かれたプロメテウス神話があります。

ニーチェはプロメテウスにたとえ激しい苦痛を与えられようとも生を肯定する姿勢に感銘を受けたようです。また、パーシーシェリーやバイロンなどのロマン主義の詩人たはプロメテウスが神々の王ゼウスへの反逆する姿勢に既存道徳への反逆、古き因習や封建領主や国家による圧政への反逆を見出して感銘を受けていたようです。

しかし、メアリーは逆に反逆による代償の酷さに焦点を当てていました。もちろん、フランケンシュタインからもロマン主義やニーチェの見出したものを見出すこともできなくはないのですが、比重が違います。

フランケンシュタインを書いたメアリーシェリー


これが後にはSF作家アシモフが命名したフランケンシュタインコンプレックスというものとして、多くの作品群に反映されるようになります。


ニーチェにおいてツァラトゥストラの二匹の動物というものがあります。それは蛇と鷲であり、蛇は知性を、鷲は誇りを象徴しています。

ニーチェにおける蛇という点においては、原作の怪物は知的なので当てはまるかもしれませんが、鷲という点においては、フランケンシュタインにおける怪物には当てはまらないように思われます。それは怪物もそれを生んだフランケンシュタインも直情的なルサンチマン(復習したいという感情)から逃れられないという話だからです。

一方、それを創造してしまったビクター・フランケンシュタインに焦点をあてると、怪物を完成させようとする過程において、彼のその知性は蛇、彼のその高慢さは鷲と言い得るかもしれません。しかし、完成させてしまうと、彼はひどく臆病に、そして次第に復讐に燃える孤独な男になっていきます。

このような形でメアリーはプロメテウスを変革してしまった。

そんなことなどを語っていきます。

「怪物戦う者は、その過程自分自身も怪物なることないように気をつけなくてならない。 深淵のぞく時深淵もまたこちらをのぞいているのだ。」

ニーチェのこの名句などもからめて語っていきます。

【フランケンシュタインをテーマとしたオンライン哲学会の告知】

今年最初のオンライン哲学会のテーマはゴシック小説であるフランケンシュタインとそれに関係した作品群を追っていきます。

フランケンシュタインを哲学する!?とはどういうことなのか?
テーマ1: 怪物とは何か -どうして怪物は存在しないのか!?-

モンスターmonsterという言葉、元は「警告」を意味するmonereというラテン語から来ており、「何かしらの異兆による神々の警告を意味しています。フランケンシュタインでは、フランケンシュタインという男が何やら死体を繋ぎ合わせて人間に似てはいるが得体の知れない生命を創り出してしまいます。しかし「それ」には名前がありません。
果たして、名付けられぬ「それ」は一体なんなのか?
みたいな感じで三つほどのテーマに沿って論じていく。小難しそうで、意外とゆるく聴ける講義です。

2021年1月24日15:00〜オンライン哲学会
講師:安部火韻
講義料: 千円(PayPalなどオンライン決済で支払えます、書店での直接支払いも可)
場所: zoomにてオンライン配信(予約者にミーティングルームのパスワードなど送ります) あるいは 特殊書店ビブリオマニアに直接お越しください。(店舗にての聴講は人数限定ですので予約お早めに)
初心者も大歓迎、お問合せはDMまで。


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