2018年3月11日日曜日

映画「フランケンシュタイン」(1931)とゴーレム伝説


こんなイメージ
フランケンシュタインといえば、みんながうかべるイメージがある。

 それは1931年にユニヴァーサルピクチャーズによって作られた映画の中でボリス・カーロフが演じた怪物だ。


頭にボルトが通っているイメージがあるが、
よく見てくれ!!

頭ではない、首だ!



この怪物のイメージはあまりに強く、
そのためか「怪物」が「フランケンシュタイン」だと思われている。しかしそれは誤認だ。怪物はあくまでビクター・フランケンシュタインによって作られた名のない怪物なのだ。今でも怪物の名前を誤認している人がいるそうだ。(なので以後、創造者をビクター、被造物を怪物と呼ぶ)

 この映画で怪物は首にボルトが入っており、言葉は話せないし、頭も悪いようだ。だが、原作では、ボルトの記述はなく、言葉を話すし頭も良い。

 なぜ、このような造形になったのだろうか?私は、ひとつは疑似科学的な説明、もうひとつはゴーレム伝説の関与があると思われる。

先日行った読書会でもその話題になったのだが、首のボルトは怪物が電気で生命を吹きこまれることによるのではないだろうか?

 原作では、生命創造が何によるものか明示されていないが、ビクターが落雷に衝撃を受けるシーンがあり、初版には落雷の後にビクターの父が凧による実験を行って見せるシーンがある。
 これは明らかに、当時の科学に基づいており、また、生命創造は電気によるものであることを示唆しうる。

 実際、当時、ガルヴァーニが筋肉を動かすのは電気だと唱えており、(1791年)ベンジャミン・フランクリンが雷が電気であることを凧による実験により証明している(1752年)(実際は凧ではなかったという説もあるし、ガルヴァーニの説による動物電気はボルタにより否定されているが)
 それはともかくも、この1931年の映画以後、怪物は電気によってつくられることが常識となる。

 続いて、怪物が巨体であることについてだが、原作では8フィートであり、それは肉体のつなぎ合わせ等に際して、巨体のほうが細部に手を加えやすいがためと原作中で説明してある。ちなみに怪物を演じたボリスカーロフは180センチ(5.9フィート)である。

 原作とは違って映画の怪物はしゃべることができない。これはなぜだろうか?

2018年3月10日土曜日

ポーの大鴉の朗読者リスト

"The Raven" by Edgar Allan Poe
エドガー・アラン・ポーの「大鴉」はさまざまな人たちに読まれてきました。
実は、この詩は今までとても多くの人によって朗読されてきました。
ここで紹介しましょう。

…その前に
 来週、カラスをモチーフにしたイベントで、私はこの大鴉をパフォーマンスを交え朗読します。
★日時
2018年3月16日(金)19:00
3月17日(土)11:00/15:00/19:00
3月18日(日)11:00/15:00
★会場
クロッキーF美術館
(名古屋市昭和区小桜町三丁目20-2)
(地下鉄桜通線「御器所」駅下車、1番出口より徒歩約5分)
ご予約はこちら、https://www.quartet-online.net/ticket/irishcoffee?m=0hedfgd
ぜひいらしてください。

では、これまではどんな大鴉の表現があったのか、見ていきましょう。


BY VINCENT PRICE 

まずは三大怪奇スターのひとり、ヴィンセント・プライスの朗読する大鴉をどうぞ↓
https://youtu.be/T7zR3IDEHrM
ヴィンセント・プライスは、マイケル・ジャクソンの「Thriller」でナレーションを務めたことでも有名ですが、彼は若いころ、ロジャー・コーマン監督のポーの作品をモチーフにした映画に多数出演していました。

 中でも「大鴉」をモチーフとした”The Raven”(邦題:忍者と悪女)という魔法使いの戦いの映画(原作からかなり逸脱した作品だがw)で主演を務め、そのときにも大鴉の一説をパロったシーンを残しています。
The Raven (1963)
←ワインをくれとねだる生意気な大鴉w
https://youtu.be/O_NBFJ4pow8

ヴィンセント・プライスの朗読にはティム・バートンも熱烈なファンであり、明言しているだけでなく、映像で示していました。
 その短編映像、ヴィンセント・プライス本人がナレーションをし、タイトルはなんと「ヴィンセント」!!

 そして、個人的なことですが、実はこの短編アニメーションこそ、私がポーの「大鴉」へ興味を持ったことのきっかけとなった映画なのです。最期の最後まで見るべし。