そこは科学者の実験室だった。
私は生まれた。
丸い水球の中で。
私はこのとおり考えることができた。
だから、生まれたのか。
しかし、私は何者なのか。
それはまだわからない。
障った具合から、丸いということはわかった。
おい、誰かいないのか?
おい
返事はない。
いや、私はまだ何もしゃべってはいなかった。
水の中にいて、いくつもの管が体につながれていた。
口にも管がつないで会って、しゃべれないのだった。
それだけだった。
何もない。
呼びかけても誰もいない。
私はこの水球から出たいと思った。
同時に怖いとも思った。
あ?誰かが呼んでいる。
あの美しい声は誰なのだろうか?
ここから出てみたい気がするでも出るのは怖い、怖いよ。
光あれ
ガラスが割れ、水が噴き出した。
みるみるうちに水がなくなり、私は自分の身体の重みに耐えられなくなった。
背中の管が何本か抜けて、私は前のめりになった。
そうして私はついに息絶えた。
0 件のコメント:
コメントを投稿