対象化することが孤独感を産む。一人でいるから孤独なのではない。私にとってのだれかがどこかにいるから孤独なのだ。
対象化するとは、ある物事か何かを自分から突き放して見ること。自分とは独立したものとして見る、つまり客観視しようとすること。もちろん人は完全に客観視することはできない。そこには常に主観がつきまとう。私自身の感情や私自身の身体や私自身の考え価値観世界観といったものがつきまとって、自分から完全に独立した何かとして見ることはできないのである。
ところが問題は完全なる客観視ではなく、客観視の試みである。客観視しようとすること、つまり対象化することによって人はようやく自分と対象との距離を感じることができる。これはある種の空間的なイメージであるが、この距離感こそが孤独の元凶かもしれないと思う。
自分から独立しているもの、自分とは異質なもの、どうしても分からないもの。人間は常にこうしたものに晒されている。 そういうものを感じることができる。そうしたものの中でも最も感じやすい異質なものは同種的なのに異質なものである。人間にとっては他人であろう。同種だからこそ違いが分かりやすく、その距離感を感じれる。だからこそ、だれかがいるからこそ孤独なのだと言える。
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