クリスマスとは一般にクリストマス、つまりキリストのミサを意味しているのだが、私は、他の多くの人々と同じく、そもそも宗教を信じていなかった。
サンタが赤い服を着ている起源についてはもともと聖ニコラウス祭司が着ていた似た色の服をコカコーラがさらに定式化したという話は、あなたがたも聞いたことがあるかもしれない。
しかし、クリスマスそのものの起源はどうだろうか。
クリスマスの起源、それは古きイランのほうから古代ローマ帝国へやってきて浸透していたミトラ教という今は亡き古代宗教に始まる(イランではないとの学説もある)。ミトラ教はミトラス神を信仰し、そのミトラス神が誕生した日が12/25だというのだ。
当時、ローマ帝国にはさまざまな宗教が横行していたが、その代表的なものに、ミトラ教、太陽信仰、キリスト教、古代ギリシャ・ローマ神話信仰の4つを上げておこう。ミトラ教は秘儀であり、女人禁制であったから、ローマ帝国では兵士たちの間でその宗教が徐々に浸透した。なんとその際には、ミトラ教の伝説は古代ギリシャ神話と習合されて広がっていた。例えば、ミトラス神は太陽神ヘリオスと同一視されていたのである。
そうして、西暦180年には皇帝コンモドゥスが初めて皇帝としてミトラ教の儀式に参加したとされている。
西暦270年即位したルキウス・ドミティウス・アウレリアヌスはローマ帝国内の諸宗教を太陽神ソル・インヴィクトスのもとに統一しようとした。
太陽神ソル・インヴィクトスは、太陽神ソル・インヴィクトス・ミトラスとも言われ、ヘリオスと同様にミトラ教では同一神とされていた。
このように、まるで日本における神仏習合のように、土着の神との習合があったのだが、こうしたことがローマ帝国でのミトラ教の受け入れをしやすくしていたのだろう。ひょっとすると、政治的な意図もあったのかもしれない。
ところが、
西暦313キリスト教がローマ帝国の国教となる。
西暦392年キリスト教以外の異教を禁止し迫害する。
この迫害の中で、人々の太陽神への信仰を無くすため、あえて12/25をキリスト教における降誕祭としたというのだ。すり替えか、、、実に政治的な話である。
ではそのミトラ教における伝説はいかなるものだったのか。
それは、ミトラ教の親戚のようなものであるゾロアスター教における最高善である神アフラ・マズダーと最悪の神アーリマン(アフリマン)との闘いに始まる。
なかなか手強いアーリマンに苦戦するアフラ・マズダーはついにすべての根源であって両性具有の神ズルワンへ、「コスモクラトゥール・ミトラ」を遣わすよう願い出る。
そうして、ミトラス神は岩から誕生する。これをロックバースと言う。
ミトラ伝説―ズルワンダート師が語り、ポシドニウスが記した物語
1.ズルワンによるミトラの創造
初めも終わりもなく、親も子もないお方、永遠なるズルワンは、まず宇宙的知者ミトラを創造します。つぎにミトラは、生命の母ジンダガーン・マーダルを創造します。ズルワンは2人に命じて、コスモス(世界)を作らせます。
ちなみに、ズルワンは両性具有とされています。
2.アフラ・マズダー/ゼウスとアーリマン/プルートーの創造
ミトラと生命の母から陸地が誕生したことを聞くと、ズルワンは、2人に命じて有象世界と神霊世界の間に壁を設けて、切り離すように命じました。
次に、ズルワンは2人に「初めの双子」を創造するように命じます。双子の兄を闇の王アーリマン、弟を善なる光アフラ=マズダといいます。
彼女とともに地上に植物、動物、人間、妖精、ギリシア神話のさまざまな紙、惑星神たち(火星、太陽、水星、金星)を創造します。しかし、アーリマンは大魔女アズを創造し、彼女と共謀して巨人族や怪獣キマイラなどを創造し、地上に送り込んで、地上を征服しようと企みます。
アーリマンは旱魃、飢饉、不和、争いなどを地上に撒き散らし、平和な世界を黒い闇と暗い影で覆い尽くそうとします。何よりも困ったことは、太陽神ソル(アポロン)や月の女神アルテミスたちが、アーリマンの罠にかかり、地上の荒廃の一因になったことです。
これを見て、アフラ=マズダーは、もはやこれまでと思い、ズルワンに願い出ます。「正義と秩序の神コスモクラトール=ミトラを我らの下に遣わしめたまえ」と祈ります。
無限なるズルワンは、アフラマズダーの切なる願いを聞いて、コスモクラトゥール=ミトラを地上に使わすことを決心しました。そして、地上に一つの稲妻を落とします。それは一本の聖なる木の下にある「創生の岩」と呼ばれる岩の洞穴にうち当たり、まぶしい閃光がひらめき、その中からミトラが現れました。これをミトラの「ロックバース」といいます。これは冬至の日、12月25日のことです。三人の占星術の学者たちは、ミトラの誕生を予言していました。そして捧げ物を持って創生の岩に向かいました。
閃光を見た羊飼いは、稲妻の落ちたところに向かいました。三人の占星術の学者たちと羊飼いたちはミトラを礼拝するためにやってきて、自分たちの家畜と収穫物の初穂を供えます。
ミトラはかつて自分の御者であり、忠実な同盟者であった太陽ソル(アポロン)を探します。しかし闇の力に支配されていたソルはミトラに戦いを挑みます。激闘の末、ミトラはソルを打ち負かし、ソルを闇の力から解放します。元に戻ったソルはミトラの忠実な御者にもどります。
5.月の宮殿から白い牡牛を連れ出し、大地をよみがえらせる
次に、ミトラは荒廃した大地をよみがえらせようとします。それには、月の女神アルテミスが月にある彼女の宮殿に飼っている白い牝牛を地上に連れ出して、その血で大地に新たな生命力を与えなければなりません。そこで、ミトラとソルは協力してアルテミスの宮殿から白い牡牛を盗み出し、洞窟の中に連れて行って、その肩に短剣を突き刺します。牡牛の血は大地に生命力を与え、蘇らせます。緑がよみがえり、森は豊かに生い茂り、草原はよみがえり、生き物たちであふれかえります。
こうして豊かになった地上に、アフラマズダー(ゼウス)は最初の人間アダムとエヴァを創造します。そして、ミトラがその保護者となります。
7.闇の軍団を撃つ
アーリマンは、自然災害を起こして地上を混乱させることに失敗すると、手下の悪魔を送り込み、人間と契約させ、戦争、争い、疫病、殺人、強盗、放火、詐欺などのあらゆる犯罪を行わせます。
コスモクラトゥールミトラは人々の先頭に立って戦い、人々をはげまします。
人々はミトラの勝利を祝います。それは春分の日、3月21日に相当します。
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