2018年2月23日金曜日

フランケンシュタイン翻訳本リスト(刊行200周年記念読書会に向けて)


今年はなんと
"Frankenstein; Or, The Modern Prometheus"
通称「フランケンシュタイン」の刊行200周年です!
あまりに有名な作品だけに逆にちゃんと読んだことがない人が多いと思われます。これを機会にみなさんも読んでみましょう。

「一般的には恐怖小説に分類される本書だが、読んで感じるのはおぞましさやおどろおどろしさよりも、圧倒されるほどの哀しみだ」新藤純子


「この物語のできた動機は、前にも言ったように、俗悪な面白くない幽霊物語に対抗して、面白くて本当に文学的な幽霊物語を書くことにあった。」山本政喜

そこで名古屋市の特殊書店ビブリオマニアにて、3/11フランケンシュタイン読書会を開きます。https://twitter.com/KeinWeg/status/963100058932592640
→特殊書店ビブリオマニアって??→https://bibliomania-books.com

・・・・だが、まずは読むといってもどの訳本で読んだらいいのか。
翻訳まとめて比較読み!!
…はさすがに大変なのでww、
フランケンシュタインの翻訳本のリストを作成しました。
参考にしていただけたらと思います。
{表紙写真、訳者名、挿絵画家、出版社、シリーズ名、出版年、コメント、一文の翻訳}
で出版順に掲載しました。同じ訳者はまとめて掲載します。

山本政喜 福沢一郎/絵 新人社 「巨人の復讐―フランケンシュタイン」 (世界大衆文学全集〈第11〉)1948
この本が探した中で一番古い翻訳本と思われる。
目次の小タイトルが独自
ただ、作者の序文や、作中に引用されている詩など一部が省略されている。したがって、完訳とは言いがたい。フランケンシュタインに作られた人工生命を怪物だとか、クリーチャー、モンスターではなく、「巨人」と訳したところが斬新でよい。原題は「フランケンシュタインあるいは現代のプロメテウス」なのだがこのプロメテウスとはギリシャ神話に出てくるティターン族(=タイタン=巨人)だから、山本氏は「巨人」としたのだろう。ただ、後の改版では「巨人」ではなくなっていました。
このシュールレアリストである福沢一郎氏の描いた挿絵もよかった。

角川文庫1968
山本政喜 遠藤拓也/絵 角川文庫 1968
その後、角川でも出されました。同じ人が何度も翻訳するということはよくあることです。ただ、改定されて、平成の訳でも、訳自体はほとんど変わらず使われる言葉はまだ硬い印象があります。挿絵画家は版ごとに替わります。

角川文庫1994
山本政喜 角川文庫 改版 1994
ロバートデニーロの出演した映画の公開があり、装丁に映画の写真が使われた模様。同じく角川の人造人間ものアンソロジー「フランケンシュタインの子供たち」の編者、風間賢二がコメンタリーを書いており、「フランケンシュタインの子供」と合わせて読むとおもしろい。挿絵は童話の挿絵版画家として著名なリンド・ワード(Lynd Ward)の絵が使われていました。→同じ挿絵が使われていたため、澁澤龍彦訳のところで紹介します。
「おれは満足だ、みじめな男!おまえは生きる決心をかためたね、おれは満足だ」


マリー・シェリー (著) 宍戸儀一 日本共同出版(サスペンス/ノベル選集)1953
表紙の画像は見つからず。→図書館で見つけましたが、古すぎてやはり表紙は無い。
おそらく最初の完訳です。なかなかかっこよい、いい訳でした。怪物がフランケンシュタインに語り掛けるところで、自分を「わたし」と称するところがよい。怪物が最初に習ったのは、落ちぶれ貴族のフランス語である。田舎者の言葉ではない。だから、「おれ」などというはずがないのだ!また、そうすることで見かけとのギャップが生まれ、それが物語を重厚にする、「美女と野獣」のように。ただ、文章が   固いので、山本訳同様に合わない人にはお勧めしない。
はしがきに全訳としては私が最初だと豪語していたw
また、これ以後多くの訳者がこの目次を参考に訳しているようだ
錬金術にはまるフランケンシュタインの箇所
やはり本は紙で読むとわくわくするお♡
現在は青空文庫で読めます。http://www.aozora.gr.jp/cards/001176/files/44904_35865.html
ネットで手に入りコピペもらくらくで大変お世話になりました。(青空文庫では旧字体は直されています。ただ誤字が気になります。)

「おれは満足だよ、ざまを見ろ! おまえは生きる決心をしたね、それでこそおれは満足だよ。」


臼田 昭 加納光於/カバー絵 国書刊行会(ゴシック叢書6)1979
1818発刊の初版と1831の改訂版(第三版)との比較が細かく載っているらしいのでチェック!→読みたいけど、見つからない(´;ω;`)
→2018年7月に購入しました!

「おれは満足だよ、みじめなやつめ!生きる決心をしたんだな。おれは満足だ。」


森下弓子 創元推理文庫1984
ビブリオマニアで販売しています。
このころの創元推理文庫はあとがきのコメンタリーが良いと定評があります。また
、脚注もしっかりしている。
コメンタリーは新藤純子が書いています。風間さんのコメンタリーも踏まえており、よく研究している。映画「ブレードランナー」を”フランケンシュタインの子供”に加えたのはどうやら彼女が最初らしい。
こちらは彼女のブログ↓
http://sabreclub4.blogspot.jp/2015/03/blog-post_15.html
「満足したぞ、哀れなやつめ!生きることにしたのだな、おれは満足だ」




菅沼慶一 共同文化社2003
表紙の感じが好きです。
ちゃんと原作"Frankenstein; Or, The Modern Prometheus"通りのタイトルになっています。
「フランケンシュタインあるいは現代のプロメシュース」読んでみたいなぁ
→どこにあるのか全然見つからない


小林章夫 光文社古典新訳文庫 2010 原著第3版の翻訳
 「哀れなやつめ!生きることに決めたのだな。こちらはそれで満足だ」


芹澤恵 建石修志/カバー絵 新潮文庫2014
脚注がかなり親切で、出てくる引用や書物について簡単に説明がなされている。森下訳よりも、脚注が多い。訳も丁寧で英語の一つ一つの意味やニュアンスが込められています。
例えば、「いにしえのギリシャ人は、アジアの丘陵から地中海を望んだとき、自らの苦難の果てが見えたことに歓喜の声をあげ、喜悦の涙を流したと言います」この文章だけでは余程の教養人でなければなんのことかわかりません。ここに(紀元前四世紀、クセノフォンが一万のギリシア軍を率い、アルメニアの高地から撤退したときのことを指す)という脚注が付いているため、さらに調べるための手がかりとなります。

「それでいい、哀れな者よ。生きることにしたのだな。それでいい。おれは大いに満足だ」



田内志文 乃一ミクロ/カバー絵 須田杏菜/カバーデザイン 角川文庫 新訳2015
最新の翻訳です。
またまた角川文庫、推しますねぇ
訳者のブログです↓
http://blog.livedoor.jp/simon147/archives/43375183.html
新藤純子さんのコメントです↓
http://sabreclub4.blogspot.jp/2015/02/blog-post_23.html
「いいぞ、惨めな奴め!生きる覚悟をしたのだな、いいぞ」


グラフィック版 世界幻想名作集 世界の文学 別巻1 澁澤龍彦編 世界文化社 1979
なかなかにグロテスクな怪物
こちらは澁澤龍彦が編集した幻想文学アンソロジーでポーの「黒猫」や「ジキルとハイド」など含んでおり、抄訳ですが、澁澤龍彦の翻訳したフランケンシュタインが読めます!グラフィック版ではリンド・ワード(Lynd Ward)の挿絵やハマーフィルムの映画のシーンがダイナミックに楽しめるのでそういう点も良い。河出から文庫も出ています。コメンタリーは紀田順一郎が書いています。
ダイナミックでとてもよいLynd Ward挿絵














★ここまでまずは一通り翻訳本を紹介しました。

では、翻訳を比較してみましょう。


2018年2月14日水曜日

発掘するチョコ??!

みなさんは、バレンタインデーはいかがお過ごしでしょうか?


恐竜の化石(チョコ)を発掘!

【恐竜】最高級チョコレートを使った、割って!掘って!楽しむチョコレート★ジュラシックショコラ【ディグアップ】
というのをいただいたので、さっそく
紙袋から出すと、中から木製の本型の箱が

本の表紙をよくよくみると、恐竜の絵が・・!
箱を開けるとこんな感じで発掘道具と巨大なチョコレートが入っていました。


鎚で砕き、はけでチョコの粉をきれいに掃き出します





次第に現れてきた形、なんの恐竜だろうか?





















ティラノサウルスでした!!


中から出てきたティラノサウルスはスタッフが美味しくいただきました!!

ありがとう、しろわさびさん( *´艸`)